【YOC沢登り】前川大滝沢・やっぱりナメが好き! by おんせん
2017年 08月 26日
参加者 隊長、セカンド、おんせん
行程 滑川橋-ナメ連続帯-前川大滝-(登山道)-ホラノ貝沢ーヒョングリ滝-Y字滝-桶木沢-登山道-福島屋旅館
データ 高低差 約600m 行動時間 遡行7時間・下山2時間(食事時間含む)
YOC沢登り第3回は山形県の前川大滝沢だ。ここはナメの美渓で人気のスポットだ。土曜日にやる予定で出発したが、天気予報がイマイチで日曜日に変更。金曜日に出発して、前日は道の駅土湯で幕営。土曜日は、ガスの中安達太良山散策と東北サファリパークで遊ぶ。
▼東北サファリパーク、意外に楽しいところ。
▼宿近くのレトロな駅、峠駅。スノーシェッドがかかっている。
土曜日の宿は、滑川温泉の福島屋。秘湯として有名な宿だ。素泊まり2800円で泊まるが、鍋や食器、台所あり、ガスも10分10円で使える。3つの風呂が入り放題。こんな宿ははじめてだ。おまけに部屋まで荷物を運んでくれるというおもてなし。
日曜朝、6時に宿を出発。天気は曇り。少しガスも出でいる。前夜の雨で沢は水量が多い。水量が多いと沢は難易度が上がる。
6時11分、入渓。新潟から来たという6人パーティも続く。いきなりのナメだが、この程度はここでは無視されるレベル。
▼先頭は隊長。そしてセカンドさん、おんせんと続く。
隊長のルート取りは迷いがない。滝などの難所に来ると、慎重にオブザベーションし、ルートを決める。隊長のルートは、危険や水没は、極力避けるルート取りだ。我々の力量を考慮してのものか。
後続のパーティは、基本真っ直ぐ進む。釜もドンドコ泳いでいる。若者らしい攻め方だ。沢はどう登ってもいい自由なところがいい。
最初の滝をクリアすると長〜いナメが現れた。人生初のナメ歩きだ。ナメを歩きたくて沢登りを始めたのだ。沢3回目にして目標達成してしまった。
▼このままずっと続いて欲しい素晴らしいナメ床。
最初のナメはおよそ200mほど続く。この山自体がこういう岩盤で出来ていて、水流が激しいので、岩やら砂やらが全部流されてしまってこういうナメになったのだろう。岩は総じて赤い。鉄分が含まれているので、こうなるようだ。水も鉄の味がするらしいが、試さなかった。ちなみに左側からの枝沢の水は鉄の味はしなかった。
最初の方に出て来る滝は比較的優しく隊長からお助けヒモも出なかった。ここの沢は、フェルトソールよりゴムソールの方が断然グリップがいいらしい。どんな岩質だとそうなるのかイマイチわからない。
確かにフェルトだとフリクションがイマイチでドボンしたのが一回と、クライミング中に(30センチほどだけど)ずり落ちたのが2回ほどあった。ゴムソールだったらどうだったのか。
2つほど小滝を越えると今度は300mのナメだ。もうなにもいうことはない。
そしてそのナメの先を緩く右に曲がった先に前川大滝が見えてきた。写真では、とても100m以上あるようにはみえなかったが、実物を見ると間違いなくある。熊野育ちのおんせんは、133mの直瀑である那智の滝が基準なのだが、あの高さでこの広がり。那智の滝とは全く世界が違う。袋田の滝に似ているが、向こうははっきりと4段に分かれていて、水流が真っ直ぐなのに対して、前川大滝は、末広がりで水流はくねくねとなんとも言えない雰囲気を醸し出している。
大滝を越えると次々に個性的な滝が現れる。水流がエックス状になった滝、ヒョングリ滝、渦巻きのような水流の滝(名付けてホラガイ滝)。
ヒョングリ滝とは、水流が岩に当たるなどして跳ね上がる滝のこと。ここのヒョングリ滝は、巻かないと行けない。明瞭な巻道が見当たらず、樹林帯を直登する。斜度60度はありそうな壁を木を掴みながら登る。前をセカンドさんが行く。いやはやこんな薮漕ぎというか凄い斜面を泣き言ひとつ言わず登って行くとは凄いわ。隊長の一番弟子だけある。ちょいと高く巻きすぎて15分ほどもがいて沢に復帰。
後半の核心部はY字滝だ。ここは、滝の取付きまで泳がないといけない。泳ぎ自体は問題はないが、身体の冷えが気になる。
案の定、Y字滝以降は寒くてガタガタ震えが出て来た。晴れていればなんということもない水温もこの天気では一歩間違えると低体温症だ。
▼ナメ小滝。おんせんのルートは、最後フリクション不足で苦労。
13時に桶木沢の出合に着いたところで、タイムアップ。ここで昼飯を食って、桶木沢から登山道で下ることにする。
▼飯は前回好評だった冷やし坦々うどん。
道は夏草が生い茂って、ほとんど藪状態。道にはトロッコのレール跡がある。どうやら鉱山で使用していたトロッコ道が登山道になっている様だ。この道が山と高原地図で実線となっているのは驚きだ。バリエーションにしておかないとハイキング気分で来た人はビビるだろう。
15時40分宿の駐車場に帰着。
沢3度目にして、最高の沢に来てしまった。隊長からこれ以上の沢はないかもよと言われてしまった。とにかく明るく開放的な渓相。どこまでも続くナメ。ひとつひとつの滝が個性的。その頂点に前川大滝。豊富な水量と深いカマ。
端的にいうと美しく清潔感あふれるふところの広い沢だ。自然の造形あるにもかかわらずどこか作意の感じられる風景だ。神がいるとしたら、神のセンスを感じさせる沢だ。
これは暫く他の沢では満足できないかもしれないな~。
by yamaoyaji_club | 2017-08-26 09:45 | 山の話題 | Comments(2)